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原田直次郎(1863~1899)は、幕末の文久三年に江戸で生まれた。岡山藩士の父・吾一は、この年遣仏使節団に随行して渡欧。使節団帰国後も滞欧しオランダで兵学を学んでいる。福澤諭吉や西周とともに幕府の洋学研究に携わった父は、維新後の1871年(明治4年)に岩倉遣欧使節団に随行して再度渡欧、その3年後には直次郎の兄・豊吉を13歳でドイツに留学させている。豊吉はハイデルベルク大学で地質学を、ミュンヘン大学で古生物学を修め学位を取得、ウィーンの帝国地質調査所勤務の後、1883年に帰国して農商務省の地質調査所に着任、翌年には23歳で東京帝国大学理科大学の教授を兼務した。 直次郎の少年時代は、明治維新を挟んで洋学を修め、子弟を幼少期から留学させる武士=軍人階級という、日本の西欧近代化を体現する環境にあった。 直次郎が志したのは洋画の道であった。外国語学校の美術教師でもあった山岡成章に学んだ後、高橋由一の画塾・天絵学舎に1883年(明治16年)に入門。1884年、横浜港を発った。留学先は、ミュンヘン。国際的な美術都市で本場の油彩画を改めて学び、そして終生の友人となる森鴎外と出会うことになる。直次郎は、森鴎外『うたかたの記』の画学生「巨勢」のモデル。 36歳という短い人生だった直次郎。しかも、30歳を過ぎた頃から病を患ったため、画家として活動できた期間はおよそ10年。 原田直次郎の展覧会は、没後十年の際に、画家の甥・熊雄の発案により、畏友・森鴎外を中心に企画され東京美術学校(現東京藝術大学)を会場に開催。1909年11月28日「偲ぶ会」というべき初個展は、わずか一日だけの公開。 本展は、それから107年ぶりの個展となる。 靴屋の親爺 ー重要文化財ー 騎龍観音 ー重要文化財ー 神父 ≪2016年全国巡回展≫ ◎ 埼玉県立近代美術館 2月11日~3月27日 ◎ 神奈川県立近代美術館 4月8日~5月15日 ◎ 岡山県立美術館 5月27日~7月10日 ◎ 島根県立石見美術館 7月23日~9月5日
by nviolann
| 2016-04-10 14:21
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